労働者の利益と社会的価値を生みだす組合運動を考える 


  市職組合員、臨職組合、公共労の組合員、ご家族の皆さん。退職者会の皆さん。
 新年明けましておめでとうございます。
 年頭に当たり、昨年までの組合の取り組み、各職場の課題、社会全体の動きなど幅広いテーマの討論会を開催しました。今回の出席者は藤岡委員長と本庁、学校、清掃、保育園・児童館学童保育所の各協議会議長、公共労根石委員長です。討論会は昨年12月に開催し、編集委員会で紙上討論会としてまとめました。なお、聞き手も編集委員会です。
 なおこの紙上討論会は参加自由。そして機関紙「はちおうじ」の1月号以降も継続します。
ご意見のある方はどしどしご参加ください。
 参加アクセスは直接編集委員会)へ。

聞き手 協議会議長の皆さん。本日は仕事の後、討論会にご出席いただきありがとうございます。藤岡委員長、根石委員長もご苦労様です。(笑い)
 今日のテーマは「これまでの組合の取り組みと今後の方向性」「各職場の現状と課題」「社会全体の動き」…と言うことです。要するに今皆さんが考えていること、気になっていることについてお話しいただきたい、ということです。まず藤岡委員長からお願いします。
藤岡 難しい話ですね。職場の状況は協議会の議長さんにお話ししてもらったほうがいいと思いますが、私が今一番気になることといえば、やっぱり労働者の権利や生活がないがしろにされていること、またそうした社会に危機感を感じますね。
聞き手 もう少し具体的に。

▲藤岡委員長

藤岡(「だったら具体的に聞いてくれよ」と言いたい顔をして)例えば官民問わず非正規従業員が増えています。 
 たしかに一度入社したら定年まで働き、退職金をもらって年金生活に入るという終身雇用制が本当にいいことかどうか、つまりその人にとって幸せなのかどうかは一概に言えないと思います。いろいろな生き方があるわけで、それぞれ尊重しますが、終身雇用が崩れ、臨時的、非正規雇用がふえている現実は、明らかに労働コストの削減ということで、労働者の選択肢が拡大したと言うことではありません。下手をすると賃金ばかりでなく、プライドさえも切り売りしているような現実があります。
聞き手 そこで組合の定期大会で「公正労働基準」という方針を掲げたわけですね。
藤岡 よく理解しているじゃないですか。(笑い)
 いや、笑い事じゃないんです。同じ仕事でも、身分や会社が違うことで賃金や労働安全衛生に格差がある。この現実が問題なんです。
小林(これ以上ほうっておくと委員長の話が終わらないと思ったらしく)実は学童保育所も今年の4月から大改革を実現しました。これまで、公設―公営、公設―民営、民設―民営の3形態あった学童保育所を一本化したんです。
聞き手 1小学校区1施設の学童保育所と言うことですね。
小林 そうです。それを実現するために、市の正規職員、社会福祉協議会の正規職員、労働時間が正規職員より短い非常勤職員などが一体となり仕事をしています。
前畑 何故、運営形態が3形態だったの?
藤岡 根本的には市の政策の問題ですね。つまり八王子市は「1小学校区1施設の学童保育所が必要である」という方針を持たなかった。だから3形態といっても担当所管が違い、民設―民営の学童保育所は市が補助金を出す地域コミュニティ事業で生涯学習部(クリエイトホール)の所管だった訳です。
聞き手 大きな政策転換と言うことですか。
藤岡 そうです。明確に児童福祉と言うことで所管を一本化し1小学校区1施設の学童保育事業が今年の4月から始まったということなんです。またそのことで今まで表に出なかった身分による労働条件の違いが表面化し、公正労働基準の確立が求められることになります。
加藤 清掃もごみ減量・リサイクルという大きな社会目標を、現場でどう受け止めるのかという取り組みを続けてきたような気がします。単にゴミを収集し、処分するという繰り返しだけではないと言うことで。
聞き手 市民の声を聞きながら?
加藤 もちろんです。ごみ収集をしていると、その地域のリサイクルやごみ減量の取り組みがよく分かります。もっと言えば生活環境まで推測できるんです。
聞き手 すごいですね。
(一同うなずく)
加藤 直接話し掛けられたり、不法投棄の情報など受けたりすることも良くあるんです。
聞き手 10月からスタートした早朝収集はどうですか。
加藤 住民アンケートなど実施し、結局朝7時半から収集することになりました。地域住民との信頼関係があって始めて出来ることだと感じましたね。
聞き手 労働条件の交渉はどうでしたか?
加藤 早朝収集班は、収集時間に合わせて出勤時間が7時となり、勤務時間をずらすということになりました。午後3時45分退庁となりますが、職場の方はよく理解してもらいました。職場の一体感を感じましたね。
藤岡 清掃部は環境部に組織統合しましたが、現場作業や工場運転、リサイクルの企画・立案など仕事の幅がとても広いんです。収集業務で車両と業務の共同作業は進みましたが、工場の運転や管理、リサイクル事業といったところまで進めなければ環境部として一体化した意味がありません。
聞き手 それは人事制度にも関連するのですか?
藤岡 仕事の内容は実際に従事して初めてわかることが多くあります。その意味で人事交流は重要ですね。とくに市民との関係や対話は現場にいなければ分かりません。私は、たとえ専門職であってもいろいろな仕事を経験するということは、基本的にプラスだと思います。現業職に関しては、毎年一回定期的に意向調査を実施し、その意向の範囲で人事異動を実施することになりました。
鈴木 学校のこともお話ししていいですか。
聞き手 どうぞ。
鈴木 学校職場は事務、用務、栄養士、給食、学校管理という職種があり、それぞれ仕事が分担されている訳ですが子供たちのための仕事という意味で共通の目的がある訳です。
聞き手 それぞれの役割りがあるということは、子供たちにとって、学校はミニ地域社会と言うことですね。
鈴木 そうですね。ところでこのあいだ、子供が校門のところで泣いていて、校舎に入ってこないんです。「どうしたの」と声を掛けたら、遅刻してしまったと言うことでした。子供の話をよく聞いてクラスに連れて行ったのですが、とにかく学校にはいろいろな子どもたちがいます。
聞き手 ハートがなければ勤まらない職場ですね。
藤岡 学校や保育園、学童保育所は地域社会の縮図のような面がありますね。
鈴木 子供たちの親を見ていても、我が子にどう接していいか迷っている親が多い様に感じますね。
藤岡 社会の中に子供たちの居場所が少なくなっているということもあると思います。そうした面からも学校と地域の関係がこれから重要だと思いますが。
聞き手 例えば防災とか。
藤岡 もちろんです。防災の基本は地域コミュニティといっても過言ではありません。その意味で、物理的な面だけでなく学校は防災の拠点です。ただしそれだけではなく、子供たちを含めて、ボランティアや生涯学習、環境保護、高齢者や障害者福祉などを学校という場で考えていいと思いますね。
鈴木 子供たちのサタデースクールと言うことで「寺子屋」をやっているんですが好評ですよ。
聞き手 話は変わりますが公共労の根石さん。どうですか。
根石(突然指名を受けて)ハイ。ずっと聞いていました。(笑い)
 私は本庁の1階で庁内印刷を請け負っている日本複写興業の社員で、組合を作り公共労に加盟しています。
聞き手 最近の状況は?
根石 財政状況が厳しいと言うことで、仕事は増えていますが委託料は現状維持という感じです。私達の年収もよくて500万円台ですね。
前畑 予算編成で委託料の30%カットなどという指示を受けることがあって、その結果受託業者は、従業員の解雇もせざるを得なくなる現実でしょう。
藤岡 先ほどお話しした公正労働基準は、委託契約時の算定基準に反映されなければならないと思います。競争入札だからといって、労働者の賃金も払えないような業務委託をすることは間違っている。
聞き手 今、組合で取り組んでいる入札・委託契約制度の問題ですね。
藤岡 そうです。現在執行部を中心に労使検討会を設置しました。公共事業を委託する場合、適正な賃金と労働安全衛生が確保される価格を見込み、例えば最低制限価格の基準にする。また、そのことが実行されているかどうか業者を点検する。そうしたことを市の基本的なシステムとして制度化=条例化するというものです。
前畑 難しい問題ですね。よく研究しないと。でも委員長の言っている意味は理解できます。(ずっと聞き役に回っている前畑さんでしたが)
聞き手 ところで前畑さん。先日、本庁協議会として基本構想・基本計画の取り扱いとそれに伴う組織の見直しについて労使協議をしたそうですが。
前畑 良くご存知ですね。(笑い)本庁協議会の初仕事ということで、担当執行部と本庁協議会の全部会部長が参加して実施しました。
聞き手 基本構想の見直しについて組合側の考え方はどうですか。
藤岡 これまでの基本構想である21プラン、新21プランは根本的に見直すべきであると主張し続けてきました。その理由は、起債に頼り施設建設を中心にした旧基本構想が八王子の財政状況の悪化に拍車を掛け、閉塞感を増したからです。
前畑 大きな流れはそうかもしれませんが、制約がある中で少しでもいいサービスを実現しようと努力してきた職場もあると思いますが。
藤岡 もちろんです。むしろそれが救いでしょう。
 しかし、どこの自治体もこうした問題に直面した訳ですが、八王子の場合組織も大きい為、責任回避の悪い役人体質が出やすく、また市長のトップダウンに意見を言う部課長が少なかったことも悲劇を大きくしたと思います。
 いずれにしても市長が変わり、市民参加で根本的な見直しをしようということですからその姿勢は受け止めるべきであり、積極的に現場の意見を発信すべきと思います。
前畑 地方分権ということですか。
藤岡 自己決定―自己責任という意味で政策能力を高める、風通しを良くするという事ですね。現場から始まっていますが、本当の意味で縦割りを乗り越えることが問われています。
前畑 人材育成の基本は職場の中にあるのでは?
藤岡 そうです。現業ばかりでなく行政職も一定の経験、例えば35歳で主任になる時、福祉だとか環境、生涯学習、建設、都市計画などの行政分野が選択できる、もちろんどこも選択しないという選択肢も含めて人事制度の根本的な見直しが必要だと思いますね。
加藤 要は現業・非現業を問わず政策立案に参加することで職場の活性化を図る、と言うことですね。
藤岡 そういうことですね。
聞き手 いろいろありがとうございました。マイナス人勧を前に、公務員労働者も大変な時代を迎えています。市民からの信頼を背景に、生活と権利を守るため、こうした時代こそ労働組合の組織力、交渉力を強めることが求められている。…ということで、今回の紙上討論会のまとめとさせていただきます。

各協議会議長と藤岡委員長、公共労根石委員長の討論会は、2時間を超える熱のこもったものになりました。紙上討論会として、すべての組合員の参加できる方式で、今後も続ける予定です。賛否両論、皆さんのご意見を寄せてください。
 ところで討論会終了後数日して、部会役員会のため途中退席した学校協議会の鈴木議長からメッセージが寄せられましたので掲載します。

討論会の皆さんへ
 学校協議会 鈴木 朱実
 過日は、座談会の途中で退席し、失礼いたしました。お話ししたなかでもう少し聞きたかったことがありますので、送らせて頂きます。
 最近のことですが、小学校の生活科の授業で、学校の畑に大根を作りました。とても豊作で立派な大根ができました。もちろん小学校2年生ですので先生方も大変努力されていました。畑には害虫もたくさんいましたので、みんなが割り箸で虫取りをしました。その結果とても立派な大根ができました。子供たちがうれしさいっぱいで取れた大根を教室に運びました。
 そして無農薬で立派な大根は、先生と栄養士さんと給食調理員さんとの相談と協力で、給食の献立のなかで食べられるようになりました。「おでん」と「ほうとううどん」の中に、取り入れられました。また、大根の葉もとっても良かったので「ジャコと大根葉の炒め物」になりました。その日は、学校の児童全員が、2年生の収穫した大根に舌鼓をうちました。
学校給食が自校方式だからこそできること。学校教育のなかですばらしいことだと感じました。
 学校給食で出た生ごみも、一部では生ごみ処理機で黒土にできたらいいですね。環境問題も解決される。学校の畑も良くなるのでは。

(機関紙「はちおうじ」404号/2003.1.1)
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